SMAPという時代

いつも読ませて頂いているお2方のブログでのSMAPの話題がとても興味深かったので、私も考えた事を残しておく事にした。

始まりはさささんの記事  西暦2014年、スマ暦24年 - over and over


「続ける」という方法

「じゃあSMAPがどうやって変えてくれたのか?」
これについてはとてもシンプルだけどSMAPというグループを「続ける」という方法で変えてくれたんじゃないかと思う。自分も30歳を過ぎてようやく続ける事の難しさとか大変さを痛感しているところだけど、水ものである芸能界でアイドルという商売でしかも国民的グループにまで昇華させるって並大抵のことじゃないと誰もがわかるし、いくらジャニーズ事務所という大きな後ろ盾があったって、ただ漫然と突っ立ってグループが30年続く訳は無い。第一線でアイドルを「続ける」ということはつまり「挑戦を続ける」と同義語だと、SMAPだけでなくTOKIOやV6などのアラフォーグループを見ていて強く感じるのだ。
勿論その為にはグループの骨格がしっかりしていないと挑戦なんてあったもんじゃないだろうけど、20年もグループを続けていれば解散というワードが出て来るのは当たり前だと思う。SMAPには「森くんが脱退する」というわかりやすく解散してもおかしくないタイミングがあった。メンバーそれぞれの気持ちが一時的に違う方向を向いていたとしても、それでもグループの形を「続ける」という選択肢を取ったことが結果的にその後のジャニーズの流れを変えてくれたのではないかと勝手に思っている。


SMAP陣営が意図してグループを「長生き」させようとしていたのか?それとも時代がそうさせたのか?あるいは…?」

ファンじゃない私にはSMAP陣営の意図するところはわからないのでここは詳しい方にお任せするとして、時代の部分を掘り下げることにする。

「受容する側のファンも変わって来ているとは思います。特にジャニーズファンは女性が大多数だから、女性の進学率や仕事観の変化によって、求められるアイドルも変わってくるでしょう。」

さささんの記事の中に上記のようなヒントがあったので、この辺を探っていくことに。






Before SMAP/After SMAPの違いを見るためサンプルとする年度は以下のようにしました。
  1. 1980年  マッチやトシちゃんがCDデビューした年
  2. 1990年  SMAPがCDデビューする1年前。本当はデビューした91年にするべきなんだけど、統計結果の都合上90年としました。まあSMAPデビューらへんってことで。
  3. 2000年  嵐がデビューした翌年。本当はデビューした99年(以下略)
  4. 2010年  いちばん直近の実績。Sexy Zoneがデビューする1年前

晩婚化、晩産化

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見ればわかる通りあからさまに平均初婚年齢も平均出生時年齢もあがっている。
平均初婚年齢を見ると、80年(マッチデビュー)に25.2歳、90年(SMAPデビュー)に25.9歳、00年(嵐デビュー)27.0歳、10年は28.8歳、と80年代には0.7歳しか上がらなかったのに90年代1.1歳、00年代1.8歳と上がり幅がぐんぐん増している。第1子出生時の母の平均年齢もそれに伴い上昇。80年に26.4歳だったのが、00年には28.0歳。SMAPデビュー時の90年に第2子出生時の母の平均年齢が29.5歳だったのに対し、2008年には第1子が29.5歳になっているから、18年で1人分の差が生じちゃってる。そりゃ子ども減るわ。


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次は30歳時点での未婚率というデータ
マッチデビュー時の80年にファンが1965年生の15歳だと仮定すると、15年後の1995年(平成7年)に30歳。その時に未婚だった割合は26.2%
対してSMAPデビュー時の90年にファンが1975年生の同じく15歳だと仮定すると、15年後の2005年(平成17年)30歳時に未婚だった割合は39.9%
ちょっと括りが雑だけど、マッチ世代とSMAP世代の女性30歳時の未婚率は10年で13.7%差が出ている。これはなかなかパンチのある数字。

結婚出産というのは女性のライフイベントでいちばん大きいもので、ジャニオタとして活動する上でも大体の人が特に出産を機に茶の間ファンにならざるを得ない(コンサートに行く回数が減る、CDや雑誌などを購入する金額が減るなど)と推測する。ここまで見てきた2つの統計から感じたのは、晩婚化、晩産化によりジャニオタが茶の間化する年齢も遅くなっているのではないかということ。ライフイベントの変化で現場を離れて段々とファンとしての熱量も減っていくタイミングが先延ばし(と言ったら言い方悪いけど)になり、息が長く根強いファンがSMAP以前の世代に比べると増えたから、自然タレントの寿命もそれに支えられ長くなったということは考えられないだろうか。



進学率、就職率の向上

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女子の大学(学部)進学率に注目。80年(マッチデビュー)に12.3%、90年(SMAPデビュー)に15.2%、00年(嵐デビュー)に31.5%、と90年から00年に掛けて16.3%上がりその後も現在まで引き続き上昇し続けており、4年制大学に通う女性が飛躍的に増えたことになる。男性も同様に上昇し続けていて、いわゆる大学全入時代ってやつだ。
主な原因として、日本における教育の大衆化の進展、1990年代以降の法的規制緩和による大学の新設ラッシュ、定員増加、少子化などが挙げられる。
1980年代後半から1990年代前半、バブル期に18歳人口がピークを迎えたことや大学不合格者が増加したことにより、各大学に臨時定員増加が認められた。これは後に18歳人口が減少することを前提とした、あくまで一時的な措置であったが、政治家や私学関係者の働き掛けにより、国立大学は元に戻すが、公立大学と私立大学は臨時増加分の半分を維持してよいこととされた。
2000年代に入り、小泉純一郎政権時代の規制緩和が大学にも及ぶことになり、それまでは学校法人審議会による厳しい審査が必要であった大学・学部新設の一部に届出制が導入された。これが大学の新設ラッシュを引き起こし、1992年から2006年までの間に大学は約70校新設され、短期大学からの四年制以降もあわせると184校増加した。大学全体の定員が増加する一方で少子化は急激に進み、大学全入が現実味を帯びる状況となった。( 大学全入時代 - Wikipedia より)
1971〜74年の第2次ベビーブームの最後の年に産まれた子が18歳になる92年をピークに、その前のバブル期と合わせて大学志願者は急増したようだ。ちなみに先程仮定したSMAPファンの年齢(デビュー時の90年にファンが1975年生の15歳)と世代が大体同じということになる。



最後に就業率を見ていく。黄緑色と黄土色?の線に注目して欲しい。黄緑色は25〜29歳、黄土色は30〜34歳を表している。20〜24歳は第2次ベビーブームの初年である71年に産まれた子どもが20歳になる91年をピークに減少している。それに比べ25〜29歳と30〜34歳は著しい上昇を続け、2002年には25〜29歳が20〜24歳を逆転し近々30〜34歳も逆転しそうな勢いである。詳しい数字を見ると、80年と90年を比べると25〜29歳が+11.6%、30〜34歳が+3.3%、90年と00年ではそれぞれ+6.0%と+3.3%となっている。要因のひとつに1985年日本初の女性差別禁止法である男女雇用機会均等法の成立があり(97年改正、現行法は06年改正の第3次改正法)、少しずつ女性がアクティブに働くための環境が整っていったと思われる。ここから推測するのは、働く女性が増えるということは女性の自立が促され、当然ながら所得が増えて自分のために使えるお金、つまりオタ活などの趣味に使える費用が増えるということである。それまで親の財布に頼るティーンがメインだったアイドルの客層が、可処分所得の多い未婚の働く女性が増えたことにより、自分の働いたお金で自分の好きなようにアイドルを応援する顧客が90年代以降増えていったのではないか。


まとめ

ここまでの統計を一通り読んで、「女性に学歴は重要ではない」「女性は適齢期に結婚し、結婚したら仕事は辞めて家庭に入るべきだ」という【女性ならこうするべきだ】という性差での差別、抑圧から段々と解放される時代と共にSMAPはあったのだと感じた。一方でバブル経済の崩壊、いわゆる【失われた20年】と言われる日本経済の衰退とも、SMAPは時代を共にしている。思えば、「育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない」けど君のこと好きだからやれるだけがんばってみるよ、とか「ナンバーワンにならなくてもいい 元々特別なオンリーワン」とか「君が君でいることがとても美しい」「きれいだね 君こそ我が誇り DEAR WOMAN」とか「今すぐJoy!!Joy!!」とか、お茶の間から見るSMAPはいつも明るくどんな時代でもかっこよく、私たちのことを肯定し続けてくれていた。言ってみれば、この20数年の日本を取り巻く環境の変化がいまの【国民的アイドルSMAP】を形作ったのではないか。さささんや小娘さんの記事にもあったように、偶像的な操り人形的なアイドルにならなかった(なれなかった)【リアル】を武器にしたSMAPは、女性解放の時代やバブルが終わって背伸びや無理をしない等身大の生き方がよいという時代の空気とぴったり寄り添っている。まさに時代が求めたアイドルがなるべくしてスターとなり、その後のジャニーズアイドルのあり方をも変えていったのがSMAPである、そう結論付けたいと思う。








上記に記載した以外の参考文献


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