V6 LIVE TOUR 2015 ~since1995 forever~ 感想

ツアー初日前日の8月30日。私と友人は札幌の行きつけの居酒屋で海の幸を堪能しながらこんな話をしていた。


「コンサートの1曲目は何だと思う?」


前回は『fAKE』前々回は『will』、ここ数年大人っぽいダンサブルな曲調が続いたため、この流れで行くと今回は『wait for you』ではないか?いや、でも今回は今までと違う入り方をと言っていたし*1、20周年なのだからここはデビュー曲の『MUSIC FOR THE PEOPLE』からでは?他にも候補は出たがこの2曲のどちらかというのが私たちの予想だった。そしてツアー初日。実はどちらも正解だった。『wait for you』ピアノバージョンの冒頭部分を歌ってからの『MUSIC FOR THE PEOPLE
EDMの最新曲からの、ユーロビートのデビュー曲。20年踊り続けて来たV6に相応しい始まり方である。


今回はセットも一切無く、ステージ後方に扉 兼 巨大モニターがあるだけ。オープニングは扉が開いてスモークの中を背後からの白い光を浴びて6人が静かに歩いてくるシルエットが見えるという、その傾向にあった近年の中でも群を抜いてシンプルな始まり方。今年はこの余計な物を全て削った『シンプル』さが要だったように思う。このコンサートを通じて、見せたいものは『V6』、伝えたいものは『20年分の感謝』と『この先』と私は受け取った。 余分なものを削ぎ落としても、十分な魅力と技術や表現力をこの20年でV6は身につけていた。




前半の山場はセンターステージでの『will』からの『Break The Wall』

この『Break The Wall』は2011年のコンサートで初披露されたが、この時のコンサートも円形の中央360度ステージであり振り付けも当時と同じというともすると既視感のあるステージになってしまう所を、とんでもなく作り込まれた照明の力で全く違うものへ仕上げてきた。ど素人なため「なんかすごい」という非常に情けないかつ漠然とした感想しか言えないところが我ながら残念であるが、今回は天井から吊り下げられた幾つかの円形の鏡がすごい威力を発揮して、鏡に照明を当てて屈折させるというとても単純な方法なのだが、それぞれの鏡が高度や角度を微妙に変えることで無数の光線がステージ上に生まれて大変美しかった。
特に『Break The Wall』は高さをサイド上方からではなく、真横から照明を照らすことによりアリーナ客席全体がレーザー光線の真下にいることになり、自分もステージにいるような錯覚を覚えた。あんなにただひたすらに照明を見ていたいコンサートは初めてだった。*2 改めて、V6コンサートの照明チームの仕事ぶりには毎年感嘆させられる。さらに前半山場ということでとにかく踊るのだが、振り付けもセンターステージを意識した360度全方位が正面になりうる、どの席にいても楽しめる作りになっており、これがアイドルのエンターテインメントであり、V6の強みだと改めて確信した。




後半は『39 symphony』と称したシングル39曲メドレー

編曲はsexy honey bunny!でお馴染みcorin.氏と西寺郷太氏の通称にしこりコンビという豪華さ。ただ繋げるだけではなく、曲の中に他の曲を被せてきたり、中には一瞬のフレーズだけを散りばめた曲もあり、「Feel your breezeが見つからない問題」など何度も入るファンにとっては図らずしも隠れた曲を見つける楽しみを与えられた豪華で楽しいメドレーだった。*3

後半の幕開けが兎に角心憎い演出で、時間は不確かであるが10時20分頃を指した時計の秒針がカチカチと進む音から始まるのだ。これは10周年のコンサートで使われた演出で、今回の初日にこのVTRが流れた時に会場中から悲鳴のような声が漏れ、私も鳥肌が立ったのを覚えている。あの時計、あの秒針の音、あのBGMだけで一気に10年前の2005年に巻き戻されたような感覚に陥った。そして、その音から10周年記念シングルの『orange』のイントロが流れ、6人を乗せた大きな大きな骨組みだけのゴンドラ(?)が前にせり出してくる。これらはおそらく、10年前のコンサートのオープニングの1曲目でもあった『orange』で天井からゴンドラに乗った6人が降りてくる演出のオマージュなのだろう。ゴンドラから上昇したステージ装置に乗り換えると、その装置が背後のあたかも飛行機に乗ったように左右に揺れる雲間の映像とともに上下する。10年前に一気に引き戻された記憶が、V6という飛行機に乗ってまた一気に現在に進んでくるようだった。


後半メドレーの(個人的な)山場は『Timeless』『Sky's the limit』『TAKE ME HIGHER』で、毎回防振双眼鏡を構えたまま3曲分身じろぎもせずに健くんだけをロックオンしていた。兎に角かっこよさのピーク!
TAKE ME HIGHER』 の前に『ROCK YOUR SOUL』のイントロが挟まれるのだが、曲の繋ぎ目も振り付けの繋ぎ目も全くわからないままヌルッと曲が変わるのである。勿論何度も見るうちに変わるタイミングはわかるようになるのだが、それにしても違和感が無さすぎて、編曲を手掛けた にしこりコンビと踊るV6のプロの仕事ぶりに唖然とするばかりであった。




そしてコンサート全編を通して私が最も好きだったのが『wait for you』

本編最後の曲『此処から』がメンバーがメンバーへ宛てた手紙のような歌だとしたら、後ろから2曲目の『wait for you』*4はメンバーからファンへの手紙のような歌である。健くんのダンスの感情の入り方が尋常では無く、常日頃「想いのこもったものを」と言う彼がファンに伝えたいことは全てこの曲に注ぎ込んでいたのではないかと思う。
冒頭の『指折り数えてる〜』の指折り数えてる伏し目がちな健くん。『寂しい時には 僕がいる for you 僕がいる / 悲しい時だって 僕もいる for you 僕もいる』の僕もいるで胸を叩く健くん。『たどり着いて見えたものは love in the sky』で床に手を添え、はっとしたような顔で上を仰ぐ健くん。
もっともっとここに書ききれない程の感情と表情がたった1曲に詰め込まれていた。ただ格好よく踊るだけではなく、ツアーが進むにつれ健くんの込めた想いに気付くと、勝手にではあるが受け取るこちらも背筋が伸びるような想いでこの曲を受け取るようになった。



この曲も照明が心憎いところがあり、終始照明が青っぽい光で構成されているのに、メンバーが前に手を差し伸べて歌う『一緒に来てくれないかい?』の部分だけ、照明がピンクに染まるのである。V6のコンサートでピンクは6色+1の「ファン」を示す色として効果的に使われることがあり、この曲で歌われる「君」はファンであることをわかりやすく伝えている。

20周年を迎えてこの先『あの上 もっと もっと上』に行くために『一緒に来てくれないかい?』と歌われるのである。ファンにとってこんなに幸せなことがあるか。わかりやすい甘い言葉は要らない。わかりやすいファンサービスも要らない。この先も、V6と共に長い時間を歩んでいける確信こそが、唯一無二であり最高のファンサービスであると私は思う。この先も、もっと上へ。








*1:確か剛くんが雑誌で言っていた気がするがソースを失念してしまった

*2:V6のコンサートで好きな照明第1位はぶっちぎりで2010年Ready?コンの『Air』だったが、今回の『Break The Wall』同率1位で並んだ

*3:ちなみにFeel your breezeは無事見つかった

*4:オープニングとは違う通常バージョン